2017-3-22
御朱印帳を片手に巡る、東京下町のお散歩コース!浅草〜吉原〜谷根千の寺社仏閣
こんにちは!ライターの塩谷舞(@ciotan)です。
お散歩日和な2月のある日、私は浅草寺(せんそうじ)にやってまいりました。
東京に来て6年目になりますが、意外と浅草ってちゃんと遊びに来る機会がなかったりします。(むかし大阪に住んでいたころは、東京観光として浅草に来たのに!笑)
観光客で賑わうお土産やさんに一歩足を踏み入れると……修学旅行気分で、みるみるテンションが高まってまいりました!
聖観音宗 あさくさかんのん 浅草寺
〒111-0032 東京都台東区浅草2-3-1
http://www.seso-j
i.jp/
そして。この日、お散歩のお供にしたのは、この3つ。
こちら、よく見てみると……
オチビサンたちが……!左上には、イチョウに喜ぶパンくいが、妖精のように跳ねてますね。パンくいよ、君、可愛いすぎるな……。
『オチビサン』は、漫画家・安野モヨコさんが生み出した物語。
安野モヨコさん曰く……
“「私にとってオチビサンという作品は、漫画家人生を終えるその時まで、きっと描き続けるものだと思うんですよ。」
「オチビサンを描くことで、自然と癒されているんです」”
というほどに、大切に大切に描かれている、宝物のような作品なんです。
詳しくは、おととし取材させてもらったこちらのインタビューをどうぞご覧ください。
>「漫画を生み出すことに疲れた私は、漫画を描くことで元気になれた」安野モヨコさんインタビュー
その一・浅草寺
さて!
今日は、そんなオチビサンの御朱印帳を片手に、寺社仏閣をめぐります。まずは1400年の歴史を誇る都内最古のお寺・浅草寺からおさんぽスタート。
※境内は写真撮影が出来なかったので、顔面と音声のみで失礼しますね。
「おっ、『仏身円満無背相 十万来人皆対面』という看板がありますがこちらは、宗教・宗派も関係なく、参詣に来たひとみんな受け入れますよ〜…という意味だそうな。懐が深いなぁ〜〜」
「ということで、まずは参拝です。手を清めて……」
「……(参拝中)……」
「ありがとうございます。お次は……」
「こんにちは〜。御朱印をお願いできますか?」
……ということで300円をおさめて、いただいた御朱印がこちら。
達筆……! 浅草寺はその場で手書きしてくださるので、じっと見つめてしまいます。
御朱印とは?
御朱印はもともと、「写経を納めた際に、寺院から授与される証明書」だったそうです。いまでは写経はしなくてもいただけるところが多いですが、もちろん、単なるスタンプではありません。きちんとお参りして、いただきましょう。
さて。今日はオチビサンの御朱印帳を片手に、様々なお寺の歴史に触れながら、御朱印をご紹介していきたいと思います。
それでは、まいりましょう!
その二・吉原神社
浅草寺から徒歩15分のところにある、吉原神社。
「吉原」といえば……
こちら。
安野モヨコ作品『さくらん』の舞台でもある、日本最大、いや世界最大の遊郭があった場所でした。そこは妖艶な、大人のテーマパーク……。
江戸幕府公認で、最盛期には数千人もの遊女がここで働き、参勤交流で江戸にやってくる男たちの夜の相手をしていました。
そんな中にある吉原神社は、かつて吉原遊郭にお祀りされていた五つの稲荷神社と、遊郭に隣接する吉原弁財天が明治8年に合祀されて生まれたもの。現在の場所には、関東大震災後の昭和10年に移されました。
かつて、遊女たちの信仰を集めていたことから、現在も女性の様々な願いを叶えてくださることで知られています。
お参りするときのワンポイント
ところで。
お参りをするときには、ついつい「願い事を……!」と欲深くなってしまいますが。
まずは自分の名前と住所、そして年齢を小声でちゃんと伝えたほうが良いそうです。何事も自己紹介から、ですね。
そして、住所を伝えないと、神様・仏様も「どこの人かわからない」場合もあるんだそうですよ〜。
その後、御朱印をいただきました。
サラサラ……と流れるような筆使いにうっとり。
吉原神社
〒111-0031 東京都台東区千束3丁目20番2号
http://yoshiwarajinja.tokyo-jinjacho.or.jp/
その三・吉原弁財天本宮
そして、徒歩1分ほどの場所にある吉原弁財天本宮へ。
今は鯉が優雅に泳ぐ、この小さな池。
なのですが……
ここには、吉原の悲惨な歴史が刻まれています。
1923年(大正12年)9月1日に起こった、関東大震災。
「大門」の外に出ることが許されていなかった吉原の遊女たち。500人もの遊女が吉原から出られずに、亡くなってしまいます。
しかもそのうち490人もが、この弁天池に飛び込み、炎から逃れて生き延びようとしたそうです……。胸が締め付けられるような、悲惨な出来事ですね。
今はすっかり小さくなった、弁天池の跡地。
祠(ほこら)の壁面には、風化していない、色彩鮮やかな壁画が。こちらは近隣に住む東京藝大や武蔵美の美大生たちが手がけたものなんだとか。
伝統的な建物にペインティング、というのはなかなか珍しいですが……
これには
「遊女らの信仰を集めた場所を、これからは若い世代が芸術を発信する場にしたい」
という、宮司の願いがあるそうです。
ちなみに、吉原弁財天本宮の御朱印はこちら。先ほどと同じ、吉原神社でいただくことができます!
弁財天の使いである蛇がニョロニョっと、吉原の「よし」の形に描かれています。よく見ると、左横にちいさく「わら」とありますね。蛇、なかなかキュート…。
吉原弁財天本宮
〒111-0031 東京都台東区千束3丁目20番2号
http://yoshiwarajinja.tokyo-jinjacho.or.jp/
その四・鷲神社
さて。吉原エリアを出て、5分ほど歩きます。
「あぁ、吉原を出ると、ガラリと雰囲気が変わるなぁ……遊女たちはこの外に出られなかったのか……」
だなんてしみじみしておりますと、
ドン!
ドドン……!!!
こちらの、たいそう大きな大きな熊手は、鷲(おおとり)神社のもの。いやぁ〜〜派手です。
そして御朱印もやっぱり……
ご覧の通り、右上にも熊手が。賑やかですね!
「商売繁盛の鷲神社!」ということで、「おおとりさま」の愛称で地元の方々からも親しまれている神社です。
浅草 鷲神社
〒111-0031 東京都台東区千束3丁目18番7号
http://www.otorisama.or.jp/
吉原を離れるまえに、腹ごしらえ。
吉原に古くからあるお蕎麦やさん「能登屋」さん。吉原では、昔からお蕎麦が好まれていたそうで、美味しいお蕎麦やさんも多いんです。
天ざるセット、1100円。
こちらの店主さんは、吉原のことはなんでも教えてくださる吉原マスター。
「ディープな話が聞きたい!」という方は、ぜひ尋ねてみてはいかがでしょうか?
能登屋
〒111-0031 東京都台東区千束4-16-8
https://tabelog.com/tokyo/A1324/A132401/13068718/
デザートはおっきな最中を…
そして。数件隣には、昔ながらの和菓子屋さん「二葉家菓子舗 」があります。
この最中のボリュームがすごいので…
近所の公園でいただきました。餡子がギッシリ!!
二葉家菓子舗
〒111-0031 東京都台東区千束3-27-8
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13095324/
その五・正宝院
お腹いっぱいになったところで、また5分ほど歩きますと…
正宝院(しょうほういん)が見えてきました。
戦国時代に開かれた天台宗系の単立寺院です。
ここの御朱印が、かなりカッコイイんですよ……。
雄大〜〜〜〜〜〜!
「飛」という文字が、気持ちよーく、のびのびと描かれています。空も飛べそうな御朱印です!
それもそのはず。
ここ正宝院は、旅人を守る「空飛ぶお不動様」として、また災難を吹き飛ばす「厄飛ばしのお不動様」として信仰されてきました。
今は航空安全などを祈願して、航空会社の方が来られることも多いんだそう。
「飛ぶ」=「落ちない」ことから、受験生にも人気なんだそうですよ。
飛不動尊 正宝院
〒110-0012 東京都台東区竜泉3丁目11番11号
http://tobifudo.jp/
その六・浄閑寺
また少し歩きまして、浄閑寺(じょうかんじ)というところにやって来ました。こちらは、かなりシンプルなお寺です。
が……
その歴史はまったくもってシンプルではございません…。
ここ浄閑寺、実は別名が「三ノ輪の投込寺(なげこみでら)」というそうでして。
一体何を投げ込むのか?と思ったら……
1855年、安政の大地震のとき。多くの遊女が亡くなって、この寺に投げ込み葬られたんだそうです。
そして、その後もずっと身寄りのない遊女が多く葬られるようになったのだとか。浄閑寺に祀られている遊女は、なんと2万人以上。
安野モヨコ作品『さくらん』の中でも……
若い遊女が、何人も亡くなります。
遊女の寿命は、21〜23歳前後だったそう。
妊娠しないように毒を服用したり、性病にかかってしまったり、精神的に生きていけなくなったりと、その人生はあまりにも儚い……。
私よりも若い女性たちが数百メートルの狭い世界から出られずに、短い生涯を終えて、この浄閑寺に投げ込まれていたかと思うと、呆然としてしまいます。
静かに黙祷を捧げました。
御朱印にも、遊女の姿が……。どこか哀しさが漂う、浄閑寺の御朱印でした。
浄土宗 榮法山 浄閑寺
〒116-0003 東京都荒川区南千住2-1-12
http://www.jyokanji.com/
荒川線に乗って…
さて。吉原を中心としたエリアを出て、荒川線に乗ります。
レトロなポスターが。フォトスポットとしても可愛らしいです。
下町をゆっくり進みます。そして町屋駅で千代田線に乗り換えて、根津駅で下車!
その七・根津神社
(根津神社の承諾をいただき撮影しています)
さて。本日最後のスポットは根津神社!!
根津神社は、都内にポッカリ生まれた、小さな森のよう……。
森鴎外や夏目漱石もご近所さんだったとかで、とても気持ちの良い空気が流れる場所です。
御朱印もいただきました。
1900年近く前に創祀したと伝えられる古社らしく、とてもシンプルで装飾のない御朱印。
根津神社
〒113-0031 東京都文京区根津1-28-9
http://www.nedujinja.or.jp/
神社を出てすぐに、ツバメブックスという古本屋さんも。古くてかわいいものが好きな方にはオススメです!
さてさて。
御朱印帳は見事、
豪華な屏風のような姿に……!!
本当にそれぞれが個性的な御朱印ばかりで、数年経った後に見返しても、「あぁ、ここはこんなお寺だったなぁ……」だなんて、お参りしたときのことを鮮やかに思い出せそう。
そして1日中持って歩いていたのですが、このセット。
安野モヨコさんの描く様々な季節の草花と、妖精さんのように現れるオチビたち……。
御朱印帳としてではなく、大切なノートとして使っても良いですし。
紙が分厚いので、水彩画を描いたりしても良さそう。
そして袋のほうは、単体でもポーチとして使えるし、なにより!
結婚式のとき、ご祝儀袋をお渡しするときのマストアイテム「袱紗(ふくさ)」として大活躍してくれるんです。
こちらはさらに赤い組紐で作った留め具がついて4点セットで買うこともできます。こちらからどうぞ!
<3月26日追記>100個限定の4点セットは完売してしまいましたが、御朱印帳単品はこちらからご購入いただけます。
谷中ぎんざでブラり町歩き
さて。せっかくご近所まで来たので、「オチビサン」と仲良しなあのお店にもお邪魔しましょう。
「谷中ぎんざ」商店街まで寄り道して……
レトロな街並みがたまらなく可愛い。そんな中に…
一昨年「オチビサンのおさんぽバッグ」を一緒に作った、マザーハウスさんのお店もあります。
店長の水上さんです。
お店には、春色のスカーフをまとった新作も。良い色です。
MOTHERHOUSE(マザーハウス)谷中店
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里3-15-3
http://www.mother-house.jp/shoplist/yanaka/
水上さんによると、ご近所にある「すずきのメンチカツ」が絶品だそう!
肉のすずき
〒116-0013 東京都荒川区西日暮里3-15-5
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13022715/
そして、谷中銀座から少し外れたところまで歩いていくと……
こちらは「菊見せんべい総本店」!
明治8年創業という、老舗のおせんべいやさん。
まあるいのが普通のおせんべいですよね。でもここのおせんべいは……
四角い!
というのも、太陽やお月様みたいな「特別な」存在ではなく、道にある石畳のような姿で、「庶民に愛される形」として、考えられたそうなんですよ。
この「唐辛子せんべい」歴史ある味で、本当に飽きない!(ちょっと辛いけど!)
今すぐあったかいお茶を飲みたくなりました(笑)。
昔ながらの店構えも、本当に愛らしい……。
菊見せんべい総本店
〒113-0022 東京都文京区千駄木3-37-16
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13018372/
その後も、お漬物屋さん「やなぎに桜 」に行っては……
この、緑のモコモコは「ザーサイ」の漬物、人気No.1!!!
買いました。この日の夕食になりましたが、「漬物ではなくメインディッシュ」だと感じました。(本当に本当にコリッとしてピリッとして美味しかった!)
やなぎに桜
〒113-0022 東京都文京区千駄木2-33-6
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13134874/
近所には、タマゴサンドが人気の超有名喫茶店、「カヤバ珈琲」もありますし……
カヤバ珈琲
〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-29
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131104/13019585/
銭湯を改造した、日本屈指の現代アートギャラリー、スカイザバスハウスでアート鑑賞もできます!
SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
〒110-0001 東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
http://www.scaithebathhouse.com/ja/
本日最後の、甘いもの
そして!!この日歩きに歩いてたどり着いた最後のスポットは……
「ひみつの冬」という看板に誘われ……
ずっとずっと、ずっと食べてみたかった「ひみつ堂」のかき氷!!!!
初雪みたいにフワッフワ…。そして不思議なことに、「頭キーン」がこないんですよ。
さすがに歩き回ったので……
1日の疲れが……泡のように消えていきます……
舌の上で、初雪のように消えていきました。もう、春になるというのに。
「ひみつ堂」、夏場は長蛇の列なのですが、冬場は狙い目。ポッカポカに暖房の効いた店内でいただくかき氷も、なかなか乙なものではないでしょうか……?
ひみつ堂
〒110-0001 東京都台東区谷中3-11-18
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13126796/
今日は、た〜くさんの寺社仏閣巡りをして「東京って、こんな遊び方もできたんだな」って再発見。(最後は食べてばっかりでしたが)
吉原のことは、あまりにも知らないことが多すぎて、もっと知りたくなってしまい……実は、個人的にも記事を書き始めています。学校では教わらない日本史、人間的すぎて、驚くばかり。
本日のさんぽを楽しくしてくれた、オチビサンの御朱印帳と、小さなポーチと、がま口の小銭入れ。
iPhoneとハンカチ、リップくらいなら余裕で入るので、このポーチだけで身軽にで遊びに行くのもヨシです。
本日からこちらで販売しているので、ぜひご覧になってみてくださいね〜〜!
<3月26日追記>100個限定の4点セットは完売してしまいましたが、御朱印帳単品はこちらからご購入いただけます。
あ、ちなみに着物はこちらのお店でレンタルしました。しっかり着付けてくれるから、着崩れず1日歩き回れましたよ◎
着物&浴衣レンタルOne(ワン)東京浅草駅前店
〒111-0033 東京都台東区花川戸1-5-2 サテライトフジビル2F
https://kimono-rental-one.com/ja
オチビサンと東京さんぽ、大満喫です!
ライターの塩谷舞(@ciotan)がお届けしました。
Photo by 飯本貴子(@takoimo)