2015-9-3
オチビサン歳時記 第九回 〜トンボ〜
涼しい風がふきはじめると、
どこからともなくあらわれるトンボの群れ。
欧米では不吉とされることもあるトンボですが、
日本では秋をつげる虫として、古くから親しまれてきました。
とくに子どもたちには、よい遊び相手。
オチビサンたちもあの方法でつかまえようと夢中ですよ。
日本とおなじ名をもつ秋の虫
トンボは、“秋の”虫。かつては「
」とよばれました。では、「
」という島をご存知ですか? じつは日本の異名です。『日本書紀』には、神武天皇が国の形をながめ「秋津のようだ」と言ったことから秋津島の名がついたと書かれています。日本の形、みなさんにはトンボに見えますか?
日本では縁起のよい虫とされているトンボ。戦国武将は、決して後退しないその飛び方を好み、武具などの装飾にしました。文房具のトンボ鉛筆は、日本の名をもつ縁起のよいトンボにあやかって社名を決めたそうです。ただ、ロゴのトンボはお客様に頭を下げる意味で、長らく下向きでした。でも創立100周年迎えた2013年、チャレンジ精神を表して上向きトンボにかわったそうです。
さて、トンボはほんとうに目を回すのでしょうか。小さな目が何万個も集まった複眼と、さらに3つの単眼をもつ虫です。視野は広く、動くものに対する視力はとてもよいとか。高速、ホバリング、急旋回と高度な飛行をし、飛んでいる虫を空中でとらえるのですから当然ですね。人間につかまるのは、動く指に気をとられた、少々鈍いトンボだという説もあります。昆虫界随一の俊敏さですから、そう簡単にはつかまらないでしょう。
そんなトンボも、近ごろ日本を住みづらく感じているらしく、各地で数を減らしています。かつて秋空を赤くそめたアキアカネも、2000年ごろから激減しているそうです。秋がくればあたりまえに彼らが群れ飛び、それを追ってオチビサンたちが遊べるような、そんな“トンボの国”をとりもどしたいですね。