2015-9-4
オチビサンと鎌倉さんぽ 〜扇ヶ谷編〜
鎌倉の扇ヶ谷は、オチビサンが大好きなところ
秋の気配も近づく9月某日。
天気は、くもりときどき雨。
オチビサンたちが暮らす鎌倉・豆粒町へ、安野モヨコさんと秋のはじまりを探しに行ってきました。
「この小さな道は、オチビサンたちが歩いているイメージ」という安野さん。
たしかに、ぎゅっとちぢめたようなちいさな川沿いの道は、オチビサンたちにぴったり。
鎌倉の
には『オチビサン』に登場するさまざまなシーンが、そこかしこにちりばめられています。観光地からすこしはずれた場所にある、静かな通り。1本路地を抜けると山道につながるような、自然がいっぱいある場所です。
線路の沿線には、どこか懐かしい古民家がぽつりぽつりと並んでいます。
ノスタルジックなJR横須賀線の踏切。ここをまっすぐいくと、鎌倉駅まで続きます。
『オチビサン』に出てくる小川は、扇ヶ谷を流れる小さな川からイメージ
扇ヶ谷には、道と民家や、線路の間に小川が流れています。それは、オチビサンのこんなシーンに登場していたりするのです。
安野さんとアシスタントさんが、小川の向こう側にあるスズメウリをとろうとしたことが元となって、このおはなしができたそう。
緑の生い茂る小川には、季節の生き物たちも住んでいます。
秋のにおいのするこの日、見つけたのは都心ではめったに見られない珍しい色をしたトンボでした。
胴体は緑で、羽はまっくろ。とっても不思議なハグロトンボ。
止まったときにふんわりと羽をひらくのが美しく、その様子をみるために、じっと息をひそめて見つめてしまいます。
そうそう、オチビサンにもハグロトンボが登場しているおはなしがあるんですよ。
このシーンでも、オチビサンとナゼニは小川にいますね。
角度によって、黒い羽がきれいな緑色に輝くのを見るとドキドキしてしまいます。
みーつけた、オチビサンの大好きなあの植物。
扇ヶ谷の道端には、秋のはじまりを教えてくれるように、色づきはじめている植物がたくさん!たとえば、オチビサンたちが大好きなこの植物。
うす緑からすこしずつ紫色へ。パンくいが「夜明け玉」とよんでいるこの植物の名前は……。おぼえてますか?
かわいらしい実がつくムラサキシキブ。見ているだけで、癒されます。
オチビサン2巻では、「夜明けの空のいちばんいいとこ おさじでくり抜いて」と書いてありました。夏の終わりのムラサキシキブは、まだまだ色づきはじめ。きれいな「夜明け色」になるまで、もう少しの辛抱です。
オチビサンの暮らす豆粒町はどこ?
「鎌倉にある古くて素敵なお家が、少しずつなくなってる。」
と、こぼす安野さん。たとえば3巻でナゼニが歩いているあのシーン。
ここは、扇ヶ谷の小さな通りをイメージしたおはなしですが…。
コンクリートの家が増えてしまい、少しだけ味気のなくなってしまった小道。
鎌倉の空気がしみこんだ味のある古民家が、少しずつ減っています。
しかたのないことだけど、なんだか少しかなしくなってしまいます。
いかがでしたか?オチビサンの鎌倉さんぽ、扇ヶ谷編。
もし機会があれば、ぜひ実際に鎌倉に訪れて散策してみてくださいね。自然の中に、オチビサンたちの姿を見つけることができるかも…。