2016-4-21
オチビサン歳時記第37回 〜ボタン〜
豆粒町のある鎌倉では、
鶴岡八幡宮の境内に神苑ぼたん庭園があり、
ちょうどいまが、ボタンの盛りです。
おじいの庭にもボタンがあって、花びらの上で、だれかが寝ています。
「牡丹に蝶」は花札でもおなじみですが、
その子どももボタンが好きなのでしょうか!?
中国では「花王」。頭痛やニキビも癒やす、美しい花
「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と、美人の代名詞にもなるボタンの花。中国原産で、日本には、平安時代にはすでに伝わっていました。中国では、花のなかで最も美しいものとして、「花王」や「花神」とも称され、国を代表する花になっています。日本名の「ボタン」は、中国名の「牡丹」を音読みにしたもの。数多くの園芸品種があり、紅や紫、白や絞りなど花色は様々で、一重から万重まで、花弁数が変化に富んでいるのも魅力です。愛好家の多い花ですが、庭に植えているところを見ると、おじいもその一人なのでしょうか。
冒頭のことわざは、江戸時代の流行唄から生まれました。「立つ」でも「歩く」でもなく、「座れば牡丹」なのは、七七七五という心地よいリズムを刻むためでもあるのでしょう。なかには、こう考える人もいます。シャクヤクやユリは草ですが、ボタンは木。茎が真っ直ぐ伸びるのではなくて、幹から枝が横向きに分かれ、その先に花を咲かせます。その様子が、美女が座っているように見えると言うのです。
ところで、この3つの花には、薬草として使われてきた歴史があることをご存知ですか。ボタンは、根の皮を乾燥させたものに、消炎や鎮痛、血流改善などの効果があり、観賞用になる前は薬用植物として栽培されていました。今でも、「牡丹皮(ぼたんぴ)」という生薬名で、婦人科疾患をはじめ、頭痛やニキビ、痔などの生薬に使われているそうです。美人の代名詞に選ばれたのは、むろん花の艶やかさが理由でしょうが、もしかしたら、女性を健やかに美しくしてくれる薬効があったことも、偶然ではないのかもしれません。
ボタンの見頃は、4月下旬から5月上旬。花見のお供にするなら、「ぼた餅」はいかがでしょう。漢字で書くと「牡丹餅」。赤いアズキをまぶしたようすがボタンの花に似ているからだそうです。