2016-11-16
第2話「つくってくれたのは、こんな人」
どんな職人さんが作ってくれたの?
オチビサンのための、そしてオチビサンにシルエットがそっくりなどんぐり入れと一輪挿し。つくってくれたのは、「木路」のご主人、露木孝一さんだよ。
寄木細工は江戸時代の終わりごろ、箱根で生まれたと前に言ったよね。創始者と目される職人がいたとされているのだけれど、露木さんのおじいさんは、その伝説の職人から直接に技を学んだそうだよ。同じく職人になった露木さんのおとうさんが、現在の工房を設立。孝一さんはその看板を継いで、寄木細工の伝統を守ってきたよ。
「木材の加工機械を扱う技術、木工の基本的な手仕事の技なんかが、寄木細工職人には必要になるね。ひと通り作業ができて、一人前となるには、10年くらいかかるといわれるよ。
いちばん難しいところ? そうだね、木材を見極める眼、かな。つくりたい模様にぴったりの色、木目、材質の木を探して、適材適所に置いていくのは、なかなか苦労するよ。あとから色をつけたりするような加工はいっさいしないからね、やりなおしがきかないんだよ」
と露木さんが、寄木細工づくりのポイントを教えてくれたよ。いろんな苦労が、たくさんありそう。でも、こんなにきれいな作品を生み出せるなら、仕事にしてみたい! という人も多いんじゃないかな。
「地味な職人仕事なんて、若い人は見向きもしないかとおもえば、そうでもない。働かせてほしいと工房にやって来る志望者が、最近はけっこう多いよ。うれしい話だね」
オチビサンの入れもの、作ってみてどうだった?
「寄木細工は、幾何学文様が基本。ほとんどが直線でできていて、曲線を用いてつくることってあまりないんだよ」
そう露木さんがいうように、寄木細工はシャープな模様とかたちが多いね。それなのに、特別につくってもらったオチビサンの入れものは、どちらも曲線でできているよ。
「そこはなかなか難しいところだったね。だから、あえて複雑な模様はつけずに、全体のバランスを重視したよ。モノ自体の美しさが際立つといいなと思って」
色合いも、オチビサンが持っているほんわかとした雰囲気を保つよう、柔らかい色の木材を選び抜いてくれたんだって。
いくら伝統があるからって、昔からつくられている品や同じ模様ばかりをつくっていてはいけない。露木さんはいつもそう考えていて、
「寄木細工でこんなこともできるんじゃないか? これもつくってしまおうか」
と、あれこれ模索しているよ。オチビサンの入れものも、楽しいチャレンジだったとおもってくれているみたいだよ。
じっさいに、寄木細工をつくる工程をみてみよう!
次回の制作秘話は11月23日に更新するよ。
(取材・文章 山内宏泰)
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オチビサンの寄木細工制作秘話 〜第1話「寄木細工ってなあに?」〜