2015-12-17
オチビサン歳時記 第21回 〜餅つき〜
門松を準備したり大掃除をしたり、
そろそろお正月の準備に本腰を入れるころですね。
オチビサンたち、きょうは総出で餅つきです。
杵をふるうのは、その道のプロ!?
つき上がったお餅のおいしそうなこと!
お正月に欠かせないあのお餅も、完成したようですよ。
江戸時代には、出張餅つき屋がいた!?
桃の節句の菱餅、端午の節句のかしわ餅、幼子の誕生日に餅を背負わせ、新築祝いに餅をまくなど、餅は祝い事や祭りに欠かせない食べ物です。なかでも神聖なのが鏡餅。お正月、家に福をもたらす年神様へのお供えです。鏡餅には神様が宿り、それを食べれば神様の霊力が体に入り、生命力を再生できると信じられてきました。
年末の餅つきは、鏡餅をつくるための大切な行事。師走の25~30日ごろに行いますが、29日は「九」が「苦持ち」につながると嫌うことが多く、大晦日についた餅は「一夜餅」といって、こちらも縁起が悪いとされています。餅がやわらかく、鏡餅がつぶれてしまうからです。
今では、スーパーや和菓子屋さんなどでお正月のお餅をそろえるご家庭も多いでしょう。でも江戸時代は、店で買うことはあまり体裁のよいことではなかったようです。餅は各家でつくもので、お正月がせまると、江戸の町には、餅つきの元気な音があちこちで響いたそうです。ユニークなのが「引きずり」という商売です。男が数人、餅つき道具を一式かかえて、頼まれた家にやってきます。臼や杵だけでなく、蒸籠やかまどまで持参し、依頼主がもち米さえ用意しておけば、蒸してついて餅にしてくれました。終われば臼を転がして次の家へ移り、昼も夜もなく餅をついたそうです。
この餅つき屋は、落語の『尻餅』にも登場します。といっても、それは主人公の自作自演。もう大晦日だというのに借金まみれで餅をつくお金のない男が、近所への手前、せめて音だけでもさせようと、夜中に餅つき屋を呼んだ芝居をぶつのです。餅つき屋との会話も、すべて男の一人芝居。餅の代わりは奥さんのお尻で、いやがる奥さんの着物をまくって、白いお尻をぺったんぺったん、手に水までつけて叩きます。年の瀬にぴったりの愉快な落語なので、機会があれば聞いてみてください。