2016-3-24
オチビサン歳時記第33回 〜桜餅〜
各地で桜が咲き始めましたね。
満開まではもうちょっと豆粒町ですが、
オチビサンたちは待ちきれず、お花見に繰り出しました。
パンくいがうれしそうにぶら下げている包みには、
桜にまつわる甘い食べ物が入っているようです。
1年に作った桜餅の数は、38万7500個!?
桜餅は、江戸時代に、現在の東京都墨田区向島で誕生した菓子とされています。考えたのは、長命寺というお寺で門番をしていた
。境内で売り始めたところ、大人気となったそうです。初めは米粉で作られていたのが、やがてくず粉に変わりました。今では、関東は小麦粉の生地、関西はもち米の生地で作られています。
向島は、江戸時代から桜の名所でした。隅田川の堤に桜が植えられたのは1717年とされ、八代将軍徳川吉宗が植樹したと伝えられています。吉宗は、庶民の行楽の場を作ろうと、江戸の各地に桜を植樹しました。当時江戸では放火や犯罪が多く、人々は不安を感じて過ごしていたとか。花見の場を作ることは、庶民の憂さを晴らすだけでなく、開けた場を作ることで、火事の延焼を防ぐ役目もありました。
山本新六は、落ちた桜の葉を見て桜餅を思いついたとも言われていますが、江戸後期の随筆には、驚くべき数字が記されています。文政7(1824)年、店が仕入れた塩漬けの桜葉は、約77万5000枚。1つの餅に葉を2枚使っていたので、餅の数は38万7500個になったというのです。1年でそんなに売れたのでしょうか!?
現在の桜餅に巻かれている桜の葉の塩漬けは、その多くが静岡県賀茂郡松崎町で作られています。原料はオオシマザクラの葉。町には葉をとるための桜の畑があり、収穫しやすいように、冬に剪定して、木が高く育たないように栽培されています。葉の摘み取りが始まるのは5月。塩漬けによって生まれる独特の香りは「クマリン」という成分で、町に漂う甘い香りは、環境省の「かおり風景100選」にも選ばれています。
ちなみに、パンくいが楽しみにしているもう一つの「桜あんぱん」は、あんぱんを考案した木村家總本店が、山岡鉄舟を通して明治天皇に献上するために作ったのが始まりです。添えられた桜の花の塩漬けは、奈良の吉野山の八重桜でした。