2016-4-28
オチビサン歳時記第38回 〜スズラン〜
オチビサンが摘んだのは、白くて清楚な、鈴のような花。
振れば「リンリン」と鳴りそうなスズランの
香りをかいだことがありますか?
ジャスミンやバラと並ぶ、かぐわしい香りです。
食いしん坊のパンくいも、この香りには負けるでしょう。
きょうこそ、パンよりお花かな?
5月1日は「ミュゲの日」。大切な人に、スズランの花を!
「純潔」や「純愛」など、ぴったりな花言葉を持つスズランは、「ラン」と名がついていますが、ユリの仲間です。6枚の花被がくっついた鐘のような形を鈴に見立てて、名がつきました。「花被」とは、がくと花冠を合わせたもの。ユリやチューリップの仲間は、がくと花冠がはっきり区別できないのです。
花屋さんで見かけたり、庭に植えられたりしているスズランは、ヨーロッパからもたらされたドイツスズランという種類です。ヨーロッパでは春のシンボルとされ、「聖母マリアの花」として大事にされてきました。
幸せをもたらす花とも信じられ、フランスには「ミュゲの日」という行事があります。ミュゲは、フランス語でスズランのこと。5月1日に、家族や友だちなど大切な人にスズランの花を贈って、相手の幸せを願うのです。この日が近づくと、いたるところでスズランの小さな花束が売られ、町にはよい香りが漂うそうです。
スズランの花は、可憐な姿にぴったりの、よい香りがします。小さな体に似合わず強い芳香を放つので、すぐにそれとわかるでしょう。この香りをイメージした香水も数多くあり、合成香料を調合することで、スズランの香りを再現しています。
見た目も香りもすてきなスズランですが、意外な一面があります。強い毒をもつ植物なのです。花や葉、茎や根など、すべてが有毒で、ことに花に多いそうですが、スズランを活けた花瓶の水を飲んだだけでも食中毒を起こすそうです。念のため、食卓には飾らないほうがよさそうですね。日本には、北海道や熊本県の高地などに、スズランの自生地がありますが、牛や馬の放牧地に繁殖している例もあります。スズランに毒があることを知っている牛や馬が、それだけ食べ残したために増えたのだそうです。幸いパンくいはスズランまでは食べないようで、ほっとしました。