2016-11-6
第1話「寄木細工ってなあに?」
箱根の伝統工芸ってどんなもの?
オチビサンやパンくい、そして僕ナゼニが暮らしているのは、鎌倉にある豆粒町っていうところ。周りには自然がたっぷりあって、遊ぶのにもってこい。僕らはいつも一日じゅう、木や花や空、虫や動物たちとたわむれているよ。
そんな鎌倉からさほど遠くない、小田原という町に今回は来てみたよ。何をしにって? この地域に古くから伝わる「箱根寄木細工」を見たかったんだ。
箱根寄木細工って、聞いたことあるかい? どんなのか知ってる? そう、こんなのだよ。
こまかくてきれいな模様がびっしり! これ、絵具で描いたり彫刻刀で彫ったりしているわけじゃないよ。じつは、細く切った色とりどりの木材を、一本ずつ組み合わせて幾何学文様にしているの。驚きだね。
木の肌が、こんなにいろんな色をしているなんて、ちょっと信じられないかな。白いのはミズキ、黄色っぽいのはウルシやモビンギ、赤がブビンガ、紫はパープルハート……。どんな色や模様だって作れるように、ちゃんと用意がしてあるんだよ。
箱根寄木細工は、江戸時代の終わりごろにここ箱根の地で生み出された伝統工芸。ここらの山には多種多様な木が生えていて、その色合いや肌合いの違いを存分に生かそうとして、技法が編み出されていったんだって。
工房を訪ねてみたよ
こんな美しい細工、いったいどうやって作っていくんだろう。生まれるところを、ぜひ見てみたいよね。そこで訪れたのが、箱根寄木細工の製造と販売をしている「木路」さん。箱根湯本に店を構えて、工房も箱根の山のふもとにあるよ。
お店には、もの入れのような定番商品はもちろんのこと、寄木細工でできた万華鏡や掛け時計、ひな人形なんかも売っているよ。アイデア豊富なんだ。木でつくるものなら、なんでもできてしまうんだね。
工房は、神奈川県を流れる酒匂川のほとりにあって、緑が身近にある静かな環境。いかにもこれなら、ものづくりに集中して取り組める! という感じだよ。
どんな場所で寄木細工が生まれるんだろう。そんな興味で訪ねたけれど、「木路」さんにおじゃましたのにはもうひとつ理由があるよ。じつはね。特別にお願いをして、つくってもらったものがあったんだ。
オチビサンが喜びそうな、それに、見た目もオチビサンみたいな、もの入れだよ。しかも、2種類も!
ひとつは、どんぐり入れ。オチビサンは鎌倉の森で、お気に入りのどんぐりを見つけるといつだって大喜び。いつもそのまま家に持って帰るよ。部屋には、あちらこちらから持ち帰ったものがいっぱいだから、せっかくのどんぐりをすぐ見失ってしまったり。だから、ちゃんとどんぐりはどんぐり入れにしまうといいって、ずっとおもってたんだよ。
もうひとつは、一輪挿し。どんぐりだと同じように、きれいな草や花を、オチビサンはいつも持ち帰ってくるよ。家でもきれいな姿のまま、草花を眺めたいよね。そのための、一輪挿し。どう、これ。いいでしょう?
それぞれ用途の違う2つの入れものだけど、どことなくかたちが似ているね。寄木によって柔らかい色合いの横縞が入っていて、シルエットは基本的にマルばっかりでできている。見ていると、何かを想像しない? そう、オチビサンによく似ているよね!
オチビサンが使いやすいようにとデザインしたら、いつしかかたちも、オチビサンそっくりになってしまったんだよ。
この寄木細工をつくった職人さんは…?
次回の制作秘話は11月16日に更新するよ。
(取材・文章 山内宏泰)
■関連リンク
寄木細工でつくったオチビサンのちいさな秋満喫セット「どんぐり入れと一輪挿し」はこちらから購入できます。