2015-9-10
オチビサン歳時記 第10回 〜二百十日と二百二十日〜
突風が吹いたり、竜巻がおきたり、
強い風に怖い思いをしている方もいるかもしれません。
秋の初めはとくに、台風が日本をおそいやすい時季。
家の中にいても、暴風は不安をかきたてます。
小さなオチビサンなら、なおさらでしょう。
だいじょうぶ、明日はきっといい天気ですよ。
農家がおそれた強風のふく日
旧暦にもうけられた雑節のなかに、「二百十日」「二百二十日」があります。立春から数えて210日目と220日目をさすのですが、この日は台風が襲来しやすいと、昔から警戒されてきました。いまの暦にすると、今年は二百十日が9月1日、二百二十日は9月11日です。
この時季は、ちょうど稲の花が咲き、米が実るころ。暴風で花が散ったり、稲穂が倒れたりすると、その年の収穫に大きく影響します。昔の人々はこの日に嵐がきやすいことを経験上知っていて、用心したのです。海へ漁に出る人たちにとっても、嵐の発生しやすい日を知っておくことは、命を守るために大事でした。
日本には、農作物が風の被害にあわないよう、神様に祈る祭りが各地に残っています。有名なのは、奈良県の龍田大社で7月初めに行われる風鎮大祭。勇壮な手筒花火は、神様へのごちそうです。富山県のおわら風の盆は、ちょうど二百十日のころ、毎年9月1日~3日に行われます。豊作でありますようにと、風神様の鎮魂を願うのです。
ちなみに、この時季の台風はかつて「野分」とよばれていました「野の秋草を分けて吹く強い風」からきているとされています。野分が過ぎ去れば、本格的な秋。気温の変化で風邪をひく人も少なくなさそうです。じつは、「風邪をひく」という言い回しも、風と関係があります。風邪は、風が運んでくる邪気を体の中へ引きこんでしまうために起こると昔の人は考えたのです。
オチビサンは邪気に負けず、ぐっすり眠って元気に朝を迎えるでしょう。台風一過、風の落とした若いドングリを拾って遊ぶ姿が目に浮かびます。