2016-5-26
オチビサン歳時記第41回 〜ユスリカ〜
歩いていたら突然小さな虫の群れの中に入ってしまった!
……という経験はだれしもあるでしょう。
この季節、とくに朝や夕方に多く見られる蚊柱。
ちょっと不快な現象をつくるのは、ユスリカという虫です。
オチビサンは、かわいい名前をつけたようですが、
いったいどんな虫なのでしょう。
蚊柱の中にいるユスリカは、すべてオス!?
小さな虫が群れて、上へ下へと飛び回っている蚊柱。まるで柱のように長く伸びるので、その名があります。蚊柱をつくる虫にはいくつかありますが、ユスリカもその一つ。ハエ目ユスリカ科の昆虫の総称で、姿は蚊に似ているものの、人の血を吸ったり、かゆくしたりすることはありません。体に筋模様のあるセスジユスリカや、体長が1㎝を超えることもあるオオユスリカなど、ひじょうに多くの種類があります。
オチビサンは、「なかよしブンブン」という、かわいらしい名前をつけていましたが、蚊柱をつくるユスリカたちは、必ずしも仲良しとは言えません。どちらかといえばライバルでしょう。なぜなら、蚊柱の中にいるユスリカは、ほとんどがオスだから。“ほとんど”と言ったのは、メスが1匹~数匹いるかもしれないからです。蚊柱はユスリカの生殖のための行動で、メスは蚊柱を見つけると、その中に入って交尾をするのです。こんど蚊柱に出くわしたら、何匹かつかまえてみてください。小さいので見づらいですが、触角が大きくて、歯間ブラシのように見えるはず。これがオスの特徴で、メスの触角はさほど目立ちません。
交尾を終えたメスは、川や池、田んぼや用水路などで産卵します。卵からかえった幼虫は、それぞれが泥の中に巣を作り、そこに入って、盛んに体を揺らします。ユスリカの名は、この行動からつきました。体を揺すって何をしているのかといえば、水を動かして、酸素を取り込んでいると考えられ、水質を悪くする有機物を食べるので、水がきれいになるそうです。ユスリカの幼虫には、「赤虫」と呼ばれて、釣り餌として販売されているものもいるので、釣り人にはなじみがあるかもしれません。
日本には、「蚊柱が立つと雨が降る」という言い伝えが残る地域もあるそうです。ユスリカが育つには水が不可欠なので、彼らは雨の気配に敏感なのかもしれません。近年では、喘息や鼻炎の抗原になることもわかっています。