2016-11-23
第3話「寄木細工ってこんなに素敵。」
作り方を見てみるよ
寄木細工って、どうやってできていくのか、ちょっと想像ができないね。露木さんに工房を見せてもらいながら、つくりかたを追いかけてみるよ。
まずは、唯一の原材料になる木材を手に入れるよ。全国、どころか世界中から、寄木細工に適した木材を買い付けて、工房に保管しておくんだ。南米やアフリカから輸入されてきた木を使うことも多いんだって。
入手した木材は、外気にさらしてよく干すよ。冬場を中心に2か月から半年くらいは置いて、よく乾燥させる。そうしないと、あとから反ったり割れたりしてしまうから。大きな木材でも、色や木質の問題から、使える部分はずいぶん限られるよ。
ここは使える! っていう木材を選び抜いたら、板状にスライスして、何枚も重ねて、ぎゅっと強く貼り合わせるよ。そのときは、巨大な万力が大活躍。ぴったりくっついて一体化したら、「切型」に入れて大きさを整えながら、切断していくよ。模様の元になる部材をつくっていくんだね。
切断した木材を、もういちど貼り合わせていくよ。各部材の色とかたちを見極めながら、切断面が幾何学文様になるようにしながら。たこ糸でぐるぐる巻きにして、接着剤は木工用ボンドをたっぷり使うよ。棒状になった部材は「単位文様」と呼ばれているね。
「単位文様」を、ほどよい長さに切断。それを並べて組み合わせて、よりいっそう複雑な模様を生み出していくんだ。この部材を材料にして箱などのモノをつくっていくこともあるし、ごく薄く巨大な鉋でスライスして、別の木材でつくったお盆などの表面に貼って、模様とすることもあるよ。この方法は昭和になってから開発されたもので、「ヅク」と呼ばれているね。
「工程数は多いし、ほとんどは人が手を動かさないといけない仕事ばかり。手間はずいぶんかかるよ。まあ、そこが味わいになっているのかもしれないから、もちろんどの工程でも手は抜けないんだけど。つくるうえでのコツ? あまりこまかく計算したり、設計図を引いたりせずに、経験と勘をたよりに勢いよくつくっていくことかな。そのほうが、見ておもしろく長く使ってもらえるモノに仕上がるみたいだから」
と、鮮やかな手つきで作業を続けながら、露木さんが教えてくれたよ。
次回の制作秘話は11月30日に更新するよ。
(取材・文章 山内宏泰)
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オチビサンの寄木細工制作秘話 〜第1話「寄木細工ってなあに?」〜
オチビサンの寄木細工制作秘話 〜第2話「つくってくれたのは、こんなひと」〜